パラグアイ ストロエスネル大統領 第4期300グアラニー銀貨を入手しました!

日常
Oplus_131072

色々と縁があってこの銀貨を入手しました。

パラグアイのアルフレド・ストロエスネル大統領 第4期を記念して発行された300グアラニー銀貨です。

表面には、アルフレド・ストロエスネル大統領の肖像が描かれています。

裏面には、「REPÚBLICA DEL PARAGUAY」(パラグアイ共和国)と「300 GUARANIES」が刻まれ、中央にライオンとフリギア帽子が描かれています。

「PAZ Y JUSTICIA」(平和と正義)という文字も見られ、これはパラグアイの国家理念や価値を象徴しています。

ライオンは力と権威を、フリギア帽子は自由や共和主義を表現しています。

300グアラニー銀貨のスペックです。

  • 発行国: パラグアイ
  • 発行年: 1968年
  • 額面: 300グアラニー
  • 品位: 720銀
  • 直径: 38mm
  • 重量: 約26.6g~26.8g

重量的には問題無いようです。

この銀貨は、ストロエスネルの長期政権を祝うとともに、彼の統治下での経済的安定やインフラ整備の成果を象徴するものとして発行されました。

パラグアイの歴史とストロエスネル政権の時代背景

アルフレド・ストロエスネルは、1954年から1989年まで、実に35年間にわたってパラグアイを統治した軍人出身の大統領です。

Alfredo Stroessner:Wikipediaより引用

彼の政権は、南米でも特に長期にわたる独裁政権として知られています。

この300グアラニー銀貨が発行された1968年は、彼の第4期(1968年~1973年)に当たります。

ストロエスネル政権の始まりと特徴

ストロエスネルは1954年、軍事クーデターを起こしてフェデリコ・チャベス大統領を追放し、権力を握りました。

彼はコロラド党(国民共和協会)と軍部の支持を背景に、反共産主義を掲げて強権的な統治を行いました。

パラグアイ共産党を非合法化し、反対派やジャーナリストへの弾圧も辞さない姿勢は、「エル・ストロニスモ」と呼ばれる彼独特の独裁スタイルを象徴しています。

一方で、彼は経済開発やインフラ整備に力を入れ、パラグアイに一定の安定をもたらしたのも事実です。

1968年当時のパラグアイ

1968年はストロエスネルが大統領に再選された年で、彼の統治がすでに14年目に突入していた時期です。

この頃、パラグアイ経済は農業(特にマテ茶やタバコ、大豆など)を基盤に成長しており、ストロエスネルの開発独裁政策によって道路や学校、医療施設などのインフラが整備されつつありました。

また、彼は外国からの投資や移民を積極的に受け入れ、特に1959年の日本・パラグアイ移住協定に基づく日本人移民の受け入れもこの時期に進んでいました。

しかし、この安定の裏には厳しい現実がありました。

国家予算の多くが軍事や治安維持に費やされ、国民の自由は大きく制限されていました。

1967年には、ストロエスネルが連続6期の大統領職に就くことを合法化する憲法改正が行われ、彼の権力基盤はさらに強化されました。

300グアラニー銀貨の発行は、まさにこうした「安定と成長」を国民に印象づけるプロパガンダの一環だったとも言えます。

時代背景と国際的な位置づけ

1968年は冷戦の真っただ中であり、ストロエスネルは西側諸国、特にアメリカと緊密な関係を築いていました。

彼の反共産主義政策は米国から支持され、パラグアイは西側陣営の一員としての役割を果たしました。

また、この時期に計画が進められたイタイプ・ダム(ブラジルとの共同事業で、後に世界最大級の水力発電所となる)の建設も、ストロエスネルの経済政策の目玉として注目されていました。

一方で、彼はナチスの戦争犯罪者(例えばヨーゼフ・メンゲレ)を匿ったとも言われ、国際的な批判も浴びていました。

パラグアイの歴史的文脈

パラグアイは1811年にラテンアメリカで最も早く独立を達成した国の一つですが、19世紀には三国同盟戦争(1864~1870年)で壊滅的な打撃を受け、人口の半分以上を失いました。

その後、20世紀初頭にはチャコ戦争(1932~1935年)でボリビアと争い、勝利したものの財政的に疲弊。

ストロエスネルが権力を握った1954年までのパラグアイは、政情不安定な時期が続いていました。

彼の長期政権は、こうした混乱の歴史に対する「安定の代償」として受け入れられた面もあるかもしれません。

まとめ

300グアラニー銀貨は、ストロエスネル第4期の始まりを祝う記念コインであり、彼の統治下での経済成長やインフラ整備を象徴するものでした。

1968年のパラグアイは、表面的には安定と発展を享受していましたが、その裏では独裁政治による抑圧が続いていました。

冷戦下での西側寄りの姿勢や、後のイタイプ・ダム建設のような大規模プロジェクトへの布石もこの時期に見られます。

歴史的に苦難を経験してきたパラグアイにとって、ストロエスネル時代は良くも悪くも国の姿を大きく変えた時期だったと言えるでしょう。

1枚の銀貨がいろいろなことを教えてくれますね!

以上、参考になりましたら幸いです。

コメント