色々とご縁があって この銀貨を入手しました。
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1935年のイギリスのジョージ5世クラウン銀貨です。
ジョージ5世の在位25周年(シルバージュビリー)を記念し、イギリスのロイヤルミントによって初めて発行された特別な記念銀貨です。
表面には、ジョージ5世の左向きの肖像が描かれ、周囲にラテン語の銘文『GEORGIVS V. DG. BRITT: OMN: REX. FD. IND: IMP:』とあります。
これは『神の恩寵により、イギリスの王、信仰の擁護者、インド皇帝たるジョージ5世』という意味です。
銀貨のスペックです。
- 品位:500銀
- 量目:約28.3g
- 直径:約38.6mm
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裏面には、パーシー・メトカーフが描いた、聖セント・ジョージが竜を退治する伝統的な場面が描かれています。
このデザインは、当時流行していたアールデコ様式を取り入れ、大胆に再解釈されたものです。
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ドラゴンの尾の下には彼のイニシャル『PM』があります。
アールデコ様式のデザインは、伝統的なモチーフを現代的に解釈した点で当時物議を醸しましたが、現在では1930年代のデザインスタイルを象徴するものとして評価されています。
なお、このデザインは「ロッキングホース・クラウン」と呼ばれています。
これは、聖ジョージが乗る馬の姿勢が木馬(ロッキングホース)に似ていることに由来します。
この1935年クラウン銀貨は、イギリスの近代的な記念硬貨の歴史の始まりとされています。
ロイヤルミントが記念コインを発行する重要な先例となり、以降の王室やイベントにちなんだ記念硬貨の発行に影響を与えました。
またイギリスでは、スターリングシルバー(92.5%銀)が銀貨の標準でしたが、1920年に経済的な理由から純度を50%に下げました。
第一次世界大戦後の復興やインフレーション、銀価格の上昇が背景にあり、コスト削減と耐久性向上を目的としました。
この変更はジョージ5世時代に実施され、1935年のクラウン銀貨も対象となりました。
この銀貨の品位が500銀なのは、経済的制約が反映された結果なんですね。
1枚の銀貨がいろいろなことを教えてくれますね!
以上、参考になりましたら幸いです。
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