マルクスの資本論をなるべく分かりやすく説明してみる試み4

事業

前回は『富』と『商品』についての話でした。

今回は労働の『構想』と『実行』についての話です。

近年盛んに語られる『イノベーション』、直訳すると革新や改革などを意味しています。

少し前まで企業コンサルなどが好んで使っていた言葉ですが、『企業による画期的な商品開発』の意味合いとして、近年では一般的に使用されています。

新たな価値を創造するともてはやされていますが、本当に私たちの労働環境を豊かにしてくれるものなんでしょうか?

イノベーションは企業の生産力を上げる画期的な技術革新だったとします。

この言葉だけを読み取るとどうでしょうか?

とても素晴らしいものとイメージしますよね。

ですが、イノベーションが起きたからといっても、その企業で働く労働者の労働時間は短縮されないですよね。

むしろイノベーションは、労働者をより効率的に支配し、管理し、働かせるための技術でもあるからです。

基本的にイノベーションは、労働者を労働から解放するためのものではなく、文句を言わず、一時もサボる時間も無く、指示された仕事をするための改革なのです。

労働とは本来、目的を持って自然に働きかけ、何かを作るという活動です。

この本来の労働には、『構想』と『実行』という二段階のフェーズがあります。

『構想』とは、目的を遂行するためにはどうすればよいかと考える計画のことで、『精神的労働』とも言われます。

『実行』とは、考えた計画に基づいて実際に現実で働きかける行動のことで、『肉体的労働』とも言われます。

労働とはこの二段階のフェーズが統一された活動なんですね。

資本主義社会では、この『構想』と『実行』が統一された労働は扱いにくいのです。

言ってみれば職人の仕事のようなものなんですね。

そのため、資本家は『構想』と『実行』を分断し、さらに『実行』は細分化してきたんです。

以前、ビジネスモデルをカレーの作り方に例えると で話しましたが、勤め人はその形態上、大きなビジネスモデルの中の細かく分けられた一つのセクションの仕事をひたすら繰り返しているんです。

資本主義は、大量生産を実現するために『構想』と『実行』を分離することで、効率化と生産性の向上を推し進めてきました。

仕事の過程は細分化され、その細分化された仕事なら素人でも少し練習すればできるようなものに落とし込まれていきます。

こうして労働者は資本家の保有する生産システムの一部でしか働くことができなくなり、構想する力を失い、主体的に労働することができなくなってしまったのです。

いってみれば『作る楽しみ』も『自立の機会』も奪われてしまったのです。

現在では様々な領域の仕事で『構想』と『実行』は分断され、労働者は労働する喜びを失い、また自立する機会も奪われて、資本家による強力な支配を受けることになっています。

労働者が再び働く喜びを見つけ、自立するには『構想』と『実行』を再統合した働き方を見つけるしか道はないんですね。

『自分が仕事を選ぶ』

『自分が仕事を創る』

そういったことを意識するだけでも変わってくると思います。

一度しかない人生です。

やりたくもない仕事や他人に決められた仕事に自分の大切な人生の時間を使うことは、無駄以外のなにものでもありません。

学んで、行動して経済的自由への道を切り開いて、自分が自分らしく生きるために人生を構築していきましょう!

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