銀のショートスクイーズとは、たくさんの人が「銀の値段は下がる」と予想して先に銀を借りて売っていた状態のことです。
ところが、何かのきっかけで銀の値段が急に上がり始めると、値段が上がったままだと売った銀を返すためにもっと高い値段で買い戻さなくてはならなくなり、大きな損をしてしまいます。
そこで、損を避けるために慌てて銀を買い戻す人が増えます。
この買い戻しの動きが連鎖して、さらに銀の値段がどんどん上がってしまう現象が「ショートスクイーズ」です。
簡単に言うと「みんなが銀の値段は下がると思って売っていたのに、突然値段が上がってしまい、慌てて買い戻すことで急に値段が跳ね上がる出来事」と覚えると分かりやすいです。
こうしたことが起こると、銀の価格が急激に上がってニュースになったりします。
ショートスクイーズの仕組み
銀の先物市場やETFなどで投資家や金融機関が「銀の値下がり」を予想して空売りポジションを保有します。
空売りとは、証券会社や先物業者などから銀(もしくはその権利)を借りて売却し、後で価格が下がったらそのときに買い戻して返却する、という流れです。
期待通り銀価格が下がれば利益が出ます。
ところが何らかの理由で銀価格が反転し急騰し始めると、空売りをしていた投資家は損失が膨らみます。
損失を抑えようと急いで買い戻し(ショートカバー)を始めるため、その大量の買い注文がさらに価格上昇を呼び込む「連鎖反応」となり、結果として相場が瞬間的に大きく高騰します。
特に銀のように先物やデリバティブで現物を裏付けとしない「ペーパー銀」の取引量が多いと、スクイーズの規模が非常に大きくなることがあります。
ペーパー銀とは?
「ペーパー銀」とは、実際の銀の現物ではなく、紙(ペーパー)や電子的な取引記録として扱われる銀のことを指します。
分かりやすく言うと、ペーパー銀とは「銀を物理的に持たずに、契約や証書の形で銀を売買するやり方」です。
例えば、銀行や投資会社が発行する銀のETF(上場投資信託)や先物取引、証券などがそれにあたります。
これらは実際の銀の延べ棒やコインを直接受け取るわけではなく、銀の価格に連動した取引ができる「紙や電子データ上の銀」と言えます。
この仕組みは資金の効率的な運用や手軽な取引を可能にしますが、一方で実物の銀が足りなくなるリスクや、価格が実物と乖離するリスクも抱えています。
銀市場で大量のペーパー銀の取引が行われているため、時に価格変動が激しくなる原因の一つとも言われています。
投資や取引をしていない人向けには、
- 「本物の銀を持っているわけではないけど、銀の値段に連動して売買できる契約や証書のこと」
- 「実際の銀のかわりに、紙やデジタルの銀が市場でやり取りされている状態」
とイメージすれば分かりやすいでしょう。
このようにペーパー銀は実際の銀とは違い、金融商品や契約上の銀と言えます。
銀の空売りの仕組み
空売り(ショート)は「値下がりを予想するトレーダー」が活用する売買手法です。
具体的には、以下の流れで行われます。
- 銀(現物・先物・ETFなど)を証券会社や他の投資家から借りて売りに出す
- しばらくして銀価格が下落したら、市場で安く買い戻して借りた元の持ち主に返却
- 売った時と買い戻した時の価格差が利益になる
たとえば銀1オンスを100ドルで空売りし、後日80ドルに下がった時に買い戻せば20ドルの利益になります。
しかし銀価格が120ドルに急騰した場合、損失が20ドルになり、しかも価格上昇が加速すれば損失はさらに拡大しうるため、早急な買い戻しが必要となります。
これがショートスクイーズの引き金です。
分かりやすい例(投資未経験者向け)
- 「空売り」は「先に高く売って、後で安く買い戻す」ことで儲けを狙う方法です
- しかし思惑が外れて値上がりすると、「安く買い戻すつもりだったもの」が高くなり損失が膨らみます
- 多くの空売り投資家が一斉に買い戻し始めると、需要が集中して価格がさらに急上昇します
- この連鎖的な買いによる価格高騰が「ショートスクイーズ」です
銀の場合、世界の流通量に対して「ペーパー銀」の比率が極端に高いため、少しの価格上昇でも金融機関や投資家が巨額の買い戻しに走り、ショートスクイーズが深刻化するリスクが高いと言われています。
補足:ショートスクイーズは時折、仕掛け的に誘導される場合もあり、話題になった「GameStop株騒動」や銀市場の例では、SNSやファンドが協調して大量の買い注文を入れて仕掛けを行うこともあります。
以上、参考になりましたら幸いです!
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