万が一のときに備えながらお金も貯まるから一石二鳥ですよ、銀行に預けておくよりこの終身保険や学資保険に入れておいた方が将来安心ですよ。
保険のセールスマンや親切な知人からそんなふうに勧められて、なんとなく貯蓄型の生命保険やドル建て保険に加入していませんか。
日本の世帯あたりの生命保険料の平均は年間で約35万円とも言われており、30年間払い続ければ実に1000万円以上もの大金になります。もしその保険の選び方を間違えているとしたら、あなたの大切なお金は着実に保険会社の養分として吸い取られているかもしれません。
今回は、マネーリテラシーに自信がない方でも、なぜ貯蓄型保険がこれほど非効率で私たちの財布を苦しめているのかがハッキリ理解できるよう、その裏側のカラクリを分かりやすく解説します。
1. そもそも保険の本来の役割を勘違いしていませんか
私たちが保険に入るべき本当の目的は、たった一つしかありません。それは、起きてしまう確率はすごく低いけれど、ひとたび起きてしまったら自分や家族の人生や生活が完全に破綻してしまうような大ダメージを防ぐことです。
車を運転していて人身事故を起こし、数億円の賠償金を請求されたり、働き盛りの大黒柱が若くして亡くなり残された家族が明日の生活費にも困るようになったりするようなケースがこれに当たります。
こうした自分の努力や貯金だけではどう足掻いてもカバーしきれない巨大な損失に対して、みんなで少しずつお金を持ち寄り、不幸にも直面してしまった人を助け合うのが本来の相互扶助の仕組みです。
ところが、貯蓄型保険に入っている人の多くは、損をしたくない、貯金の代わりになるから、老後や教育費を確実に残したいという動機を持っています。ここに、大きな勘違いの罠が潜んでいます。
2. 貯蓄型保険の正体はボッタクリ投資信託と薄い保険のセット商品
貯蓄型保険は元本保証があって銀行預金より利回りがいいからお得という声をよく耳にします。しかし、その中身を分解してみると、驚くべき実態が浮かび上がります。
貯蓄型保険の正体は、めちゃくちゃ手数料が高い投資信託と、保証内容がものすごく薄い掛け捨て保険の抱き合わせセット商品に他なりません。
保険会社はボランティアではありません。彼らはビルを建て、何千人もの社員を養い、莫大な広告費や営業マンの給料を払わなければなりません。そのすべての原資は、契約者が毎月支払う高い保険料からガッポリと差し引かれる膨大な手数料です。
貯蓄型保険にお金を投じるということは、プロの保険会社に、私の資産運用と管理を高額な手数料を払って代行してくださいとお願いしている状態です。結果として、私たちが受け取る実際の利回りは、スズメの涙ほどにまで削ぎ落とされてしまいます。
3. 元本割れしないという甘い言葉の裏にある代償
でも、ドル建てや円建ての終身保険は、満期まで持てば元本割れしないと聞いたよと思うかもしれません。
なぜ保険会社は元本割れしないと言い切れるのでしょうか。それは、何十年という長期で運用すれば世界経済の成長によってどんな素人が運用してもトータルではプラスになりやすいということを保険会社が一番よく分かっているからです。
彼らは、あなたから預かった大切なお金の中から最初にガッツリと巨額の手数料を抜いた上で、残りの部分を安全に長期運用しています。もし途中で解約しようものなら、容赦なく早期解約のペナルティとして大金が没収され、大赤字になります。つまり、短期での解約リスクという理不尽な鞭をすべて契約者に押し付け、自分たちは確実に入り口で手数料をせしめる仕組みになっているのです。
さらに、固定金利の円建て保険はインフレにめっぽう弱いという致命的な弱点があります。今から20年後に同じ金額が戻ってきたとしても、そのころの物価が上がっていれば、お金の実質的な価値は大きく目減りしてしまいます。
4. 私たちには世界最強の公的保険がついている
私たちがわざわざ割高な民間の貯蓄型保険に頼る必要がない最大の理由は、日本には最強の公的保険がすでに備わっているからです。
例えば、病気やケガで長期間働けなくなったときには傷病手当金が出ますし、医療費がどれほど高額になっても窓口での支払いに上限が設けられる高額療養費制度があります。
日本の公的セーフティネットは、世界的に見ても非常に手厚いものです。大病をしたら破産してしまうかもしれないという不安を煽られて不要な医療保険やがん保険、貯蓄型保険に次々と加入してしまう人が後を絶ちませんが、国が用意してくれているベースの仕組みを正しく知れば、過剰な保険がいかに不要であるかが分かります。万が一の医療費の不足分は、日頃からコツコツ貯めた生活防衛資金で十分にカバーできるのです。
5. では私たちはどう行動すべきか
もしすでに貯蓄型保険に加入してしまっている場合、どうすればいいのでしょうか。取るべき合理的な行動は非常にシンプルです。
一つ目は、保険と投資を完全に切り離すことです。保険はあくまで万が一の大きな保障を買うためのコストと割り切り、割安な掛け捨ての保険だけに絞りましょう。これだけで毎月の固定費が数万円単位で浮くことも珍しくありません。
二つ目は、浮いたお金や解約返戻金を有料のインデックスファンドへ回すことです。貯蓄型保険を解約して手元に戻ってきたお金や毎月浮いたキャッシュフローは、手数料が格安な王道の株式インデックスファンドにコツコツと長期投資するのが合理的です。
保険で強制的に貯蓄をしてもらう方が安心と感じるかもしれませんが、それは保険会社に高い手数料という名の場所代・管理料を喜んで払い続けているのと同じことです。
世の中の甘いセールス文句やお得な貯蓄型という言葉に惑わされないでください。本当に価値のあるものにだけ適正なお金を払い、不要なコストを徹底的に削ぎ落とすこと。それこそが、マネーリテラシーを高めて家計を守る最強の第一歩なのです。

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