クロスオーバーとは、他社の鑑定(グレーディング)済みコインを、そのままスラブ(ホルダー)ごと別の鑑定会社に提出し、再鑑定した上で新しい会社のスラブに移行する仕組みです。
クロスオーバーの仕組み
- 流れ:例えばNGCで鑑定されたコインをPCGSに提出し、「現状のグレードと同じならPCGSスラブに交換してほしい」と依頼できます。
もし再鑑定でグレードが同じか上がれば新会社のスラブに入りますが、下がる場合や希望グレードに達しない場合は元のスラブのまま返却されるため安心です。 - 逆も可能:PCGSのコインをNGCに移すこともできます。同様に希望グレードを指定することができます。
大手鑑定会社(PCGS・NGC)の例
- PCGSクロスオーバー手続き:申込時に「最低グレード」を指定でき、それを満たさない場合はスラブを交換しません。
鑑定費用はクロスオーバーの成否にかかわらず発生し、成功した場合はコインの評価額の1%の保証料が加算されることもあります。 - NGCの場合:NGCでもほぼ同様の仕組みです。
他社スラブからのクロスオーバー依頼時に「グレードが下がらない場合のみ移行」といった条件付きが一般的です。
費用について
- 基本料金:グレーディングと同じ料金体系で、PCGS・NGCともに通常30~65ドル前後。コインの種類やオプションで変動します。
- 追加費用:クロスオーバーが成功し新しいスラブに入ると、評価額の1%が別途課金される場合があります。
- 失敗時:クロスオーバーに失敗して元に戻された場合でも、鑑定料金は返却されません。
保証料は発生しません。
メリット
- 流通性と価値の向上:PCGSは日本も含め世界トップの信頼度・市場評価があり、PCGSスラブに入ったコインの方が市場価値や流動性が上がる例も多いです。
- 安心感:グレードが下がる場合は元のスラブのまま返却されるため、リスクをコントロールしやすいです。
- 多様な市場戦略:オークションで高評価を狙いたい時や、将来売却の出口戦略としてクロスオーバーが有効なことがあります。
デメリット
- 費用負担:成功失敗を問わず最低限の鑑定費用が必ず発生し、クロスオーバーが多くなればコストが重なります。
- グレード下降の可能性:鑑定会社によって評価基準に違いがあり、特にPCGSはNGCより厳しいとされることも多いので、グレードが下がりやすい傾向があります。
ただし、最低保証を付ければリスク回避可能です。 - 時間がかかる場合がある:鑑定期間も1~3か月(PCGS)、2~6か月(NGC)ほどかかることがあります。
- 必ずしも価値が上がるとは限らない:クロスオーバーでグレードが上がる確率は1割以下とも言われ、市場の期待通り価値が上がる例は稀です。
まとめ
クロスオーバーは、信頼度や流通価格の高いスラブ会社へ切り替える手段であり、初心者も安心して活用できる制度です。
しかしグレードダウンや費用負担などリスクもあるため、コインの種類や現在のスラブ状況、市場価値を考慮して使うことが大切です。
以上、参考になりましたら幸いです!
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