コインのグレーディングで「AU59」という評価が存在しない理由は、シェルドン・スケール(Sheldon Scale)という国際的な70段階評価基準の設計にあります。
シェルドン・スケールの設計とAUグレードの範囲
- シェルドン・スケールは、コインの保存状態を1から70までの数値で評価します。数値が大きいほど状態が良いことを示します。
- 「AU(About Uncirculated)」グレードは、摩耗がごくわずかで未使用に近いコインを示し、AU50、AU53、AU55、AU58という4つの段階のみが公式に設定されています。
- AU58の次はMS60(Mint State/未使用)となり、AU59という評価は存在しません。
なぜAU59がないのか
- シェルドン・スケールは、各グレード間に明確な基準を設け、評価の一貫性と客観性を保つため、AUグレードの最高値をAU58で打ち止めにし、次の段階をMS60と定めています。
- これにより、AUとMSの間に中間的な「AU59」といった曖昧な評価を設けず、グレードの境界を明確にしています。
全体の評価基準
グレード記号 | 数値範囲 | 説明 |
---|---|---|
MS(Mint State) | 60–70 | 未使用、摩耗なし |
AU(About Uncirculated) | 50, 53, 55, 58 | ごくわずかな摩耗のみ |
XF(Extremely Fine) | 40, 45 | 明確な摩耗があるが美しい |
VF(Very Fine) | 20, 25, 30, 35 | かなり摩耗があるが図柄は鮮明 |
F(Fine)以下 | 1–15 | 摩耗が顕著 |
このように、シェルドン・スケールはグレード間の明確な区切りを重視しており、「AU59」は公式な評価基準として採用されていません。
評価の非線形性
シェルドン・スケールは、単純に1から70までの直線的な評価ではなく、特定の範囲内での状態の違いを反映しています。
例えば、MS60とMS70の間には、見た目や状態において大きな違いがありますが、これらは同じ「未使用」カテゴリに属します。
このように、評価は単なる数値の上昇ではなく、コインの状態に基づく複雑な判断を反映しています。
したがって、シェルドン・スケールが1段階ずつの評価になっていないのは、コインの状態が多様であり、評価基準がそれに応じて細分化されているためです。
これにより、コレクターや投資家は、コインの市場価値をより正確に判断できるようになります。
以上、参考になりましたら幸いです!
コメント