世界的に見ると、金地金の市場規模は銀地金に比べて圧倒的に大きいです。
これは価格・流通量・投資資産としての認識、そして産業用途の違いなどが根本要因です。
市場規模の具体的な差
- 金の年間生産量は約3,100トン、銀は約26,000トンと銀のほうが物理的流通量は圧倒的に多いですが、地金としての「市場規模」(金額ベース)は逆に金が突出しています。
- 例えば、2022年時点の可採埋蔵量は金が約52,000トン、銀が約550,000トン。
これはトン数ベースでは銀が約10倍ですが、地金価格で換算すると金の市場規模は数十兆円から数百兆円規模、銀はその数分の一以下です。 - 2010年の時点で、世界の投資可能な金の市場規模は約2.4兆ドルと推定されています。
銀はそれより相当小さな規模です。
金・銀地金価格の変動要因比較
金の変動要因
- 金は安全資産としての側面が強く、世界的な金融不安・地政学リスク・インフレ懸念などで買われやすく、市場規模が大きいため流動性も高いです。
- 逆に経済好調・金利上昇時は売られやすいですが、短期的には大きく変動しにくく、中長期でのマクロ経済・政治的要因の影響を受けます。
- 投資用途の比率が高く、各国中銀による準備資産としても利用されており、需給の安定性も比較的高い。
銀の変動要因
- 銀は工業需要(太陽光パネル、半導体、化学、医療)と投資需要が交錯し、特に経済成長時や新技術拡大時には需要が急増する傾向が強いです。
- 市場規模が金に比べ小さいため、資金流入出による値動き幅が大きく「乱高下しやすい」傾向があります。
- 埋蔵量に対して産出量の伸びは限られているため、供給制約による価格上昇リスクもあります。
- 経済が不調な時には投資需要が低くなり価格が下がりやすく、また新技術(太陽光パネル等)の需要変化に直接左右される。
金銀比較のポイント
地金種類 | 市場規模 | 流通量 | 主な需要用途 | 価格の変動要因 | 価格変動の幅 | 傾向 |
---|---|---|---|---|---|---|
金 | 圧倒的に大きい | 数万トン・希少性高 | 投資・中銀備蓄・装飾品 | 経済不安・地政学リスク・インフレ | 比較的安定 | 安全資産 |
銀 | 金に比べ小さい | 数十万~百万トン規模 | 工業需要・投資・装飾品 | 産業需要・新技術・資金流入出 | 乱高下しやすい | 産業資産 |
金は「安全資産」として、資本市場のリスク回避や長期資産防衛のために利用されます。
一方、銀は「産業資産」色が強く、技術革新や経済循環の影響を受けやすいです。
また、市場規模が小さい分、資金流入出による価格変動が大きくなりやすいのも特徴です。
以上、参考になりましたら幸いです!
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