先日フリーマーケットで購入した地方自治60周年記念千円銀貨です。


今回は愛知県の千円銀貨の紹介です。

年号は平成22年です。

愛知県の歴史と文化を象徴するモチーフとして「金のシャチホコ」「カキツバタ」「渥美半島」の3つが描かれています。

これらはそれぞれ、名古屋を中心とした愛知の誇りや自然美、歴史的背景を凝縮した象徴的なデザインです。
金のシャチホコ(名古屋城の象徴)
金のシャチホコは、名古屋城の天守閣の屋根に飾られる金色の鯱(しゃちほこ)で、災いから守る霊獣として江戸時代初期に設置されました。

徳川家康の命によって築かれた名古屋城(1612年完成)は、尾張徳川家の本拠として繁栄の中心でした。
金のシャチホコは単なる装飾ではなく、権威と財力を象徴する存在でもあり、「金鯱(きんしゃち)」は名古屋や愛知県民にとって誇りの象徴です。
現在も観光の代表的シンボルとして名古屋のアイデンティティを体現しています。
カキツバタ(県花)
背景に咲く紫の花は「カキツバタ」(燕子花)で、愛知県の県花です。特に知立市(旧八橋村)の「八橋のカキツバタ群生地」は有名で、平安時代から和歌にも詠まれるほどの歴史を持ちます。

『伊勢物語』では在原業平がこの地に訪れ、カキツバタの五文字を織り込んだ和歌を詠んだことが伝承されており、愛知の文学的・文化的背景を象徴しています。
繊細で上品な紫の花姿は、愛知県民の控えめで誠実な気質にも重ねられます。
渥美半島(豊かな自然と海の恵み)
コインの奥に描かれている穏やかな海岸風景は渥美半島で、太平洋と三河湾を隔てる豊かな自然地帯です。

渥美半島は温暖な気候に恵まれ、古くから漁業・農業が盛んで、近年では風力発電や花の栽培でも知られています。
・伊良湖岬(いらごみさき)
渥美半島の先端に位置する景勝地で、海に突き出た岬からは伊勢湾や太平洋を一望できます。灯台もあり、観光名所としての人気が高いです。フェリーの発着所もあり、三重県鳥羽市へ繋がる交通の要所です。
・田原市菜の花畑
春には一面に広がる黄色の菜の花畑が壮観で、フォトスポットとしても知られています。菜の花は地元の農業にとっても大切な収入源の一つです。
・蔵王山展望台
渥美半島のほぼ中央に位置し、展望台からは半島全体や三河湾を見渡せます。ハイキングコースや自然観察のスポットとして親しまれています。
また、伊良湖岬から見渡す海景は愛知県を代表する景勝地の一つで、県の「海と人とのつながり」を象徴しています。
愛知県の文化的アイデンティティ
このデザインには、愛知が持つ三つの側面が巧みに融合されています。
- 歴史的誇り(名古屋城と金鯱、徳川の遺産)
- 文化と文学の香り(カキツバタと古典文学)
- 自然と生活の調和(渥美半島の風景)
これら3要素の調和は、伝統と現代産業を併せ持つ愛知県の姿そのものを映し出しています。
トヨタ自動車をはじめとする近代工業県でありながら、歴史・文化・自然への誇りも深く、地域アイデンティティの強さを物語るデザインといえます。
以上、参考になりましたら幸いです!
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