運河の国・パナマを駆け抜けた銀色の栄光――1970年5バルボア銀貨が語る歴史と情熱

日常
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以前 購入した銀貨を整理していたら発見しました。

1970年パナマ5バルボア銀貨です。

かなり大きい銀貨です。

1970年パナマ 5バルボア銀貨の概要とスペック

この銀貨は1970年、パナマで開催された「第11回中米カリブ競技大会(XI Juegos Deportivos Centroamericanos y del Caribe)」を記念して発行されたものです。

表面には円盤投げ選手、裏面にはパナマ共和国の国章が描かれています。

スペックは以下の通りです:

  • 額面:5バルボア
  • 年号:1970年
  • 材質:銀(シルバー925、純度92.5%)
  • 量目:約36.07g
  • 直径:約39mm
  • 製造:フィラデルフィア造幣局
  • 発行枚数:約1,647,000枚

パナマの大型銀貨は当時自国内に本格的な造幣施設がなかったため、アメリカ造幣局が受託鋳造を行うのが通例でした。

1970年のパナマの時代背景

政治と国際情勢

1970年のパナマは、パナマ運河とその周辺の領有権を巡る問題が国の最重要課題となっていました。

アメリカ合衆国は依然としてパナマ運河地帯の支配権を持ち、パナマ国民の間では運河の主権回復、反米感情が強まりつつあった時代です。

1968年、オマル・トリホス中佐がクーデターで実権を握り、事実上の軍事政権となります。

トリホス政権は民族主義を掲げ、「運河返還運動」や反米自主独立の旗印のもとで国内を統治していました。

社会と文化

当時のパナマは多民族社会であり、スペイン系、先住民、アフリカ系、中国系、ユダヤ系などが共生し、独自の文化と習慣を形成していました。

カリブ海と中米の交流の要所として、多様な音楽・料理・祭りも根付いています。

また1970年には日本万国博覧会(大阪万博)にもパナマ館が出展し、国際的な交流や存在感を高める機会となりました。

経済

1970年代はまだパナマ運河の直接的な収益や権益の多くがアメリカ側にあったものの、パナマ都市部は金融や貿易で活力を見せ始めていました。

ただし、運河地帯の支配を巡る摩擦や経済格差、農村部の開発遅れなど、国内の経済社会問題は未解決でした。

歴史的意義

このコインは、運河返還運動が激化し、パナマがまさに国際政治・大国間の駆け引きのなかでアイデンティティを模索していた時代の象徴でもあります。

政府主導のナショナリズムやスポーツにより国威を発揚しようという意図が見て取れます。

また、長年にわたる異文化交流と移民社会、運河建設に従事した労働者たちの多様な背景が、今のパナマ社会の土台を築いていきました。

まとめ

1970年のパナマ5バルボア銀貨は、スポーツイベントを記念しつつ、パナマの歴史的転換期と国際社会におけるパナマの立場、文化的多様性を象徴しています。

銀貨自体も、高純度・大きめのサイズでデザイン性に優れ、当時の国の誇りや社会情勢を反映した貴重なアイテムです。

以上、参考になりましたら幸いです!

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