金銀比価とは何か
金銀比価(ゴールド・シルバー・レシオ)とは、金1単位(オンスやグラムなど)に対して必要な銀の量、およびその価値比率を示す指標です。
たとえば「金銀比価が90」という場合、1オンスの金を得るには90オンスの銀が必要という意味になります。
金銀比価の求め方
計算方法は非常にシンプルで、

たとえば、2025年3月時点で金1g=13,850円、銀1g=151円の場合、
13,850 ÷ 151 ≒ 91.7
すなわち金銀比価は「約92」となります。
金銀比価の意味と特徴
- 比価が高い: 金が相対的に高価、または銀が安い状況。経済が不安定な際に投資家が安全資産として金を買い求める傾向が強いときに発生します。
- 比価が低い: 銀が相対的に高価、または金が安い状態。「世界経済が順調」とみなされる時期に比価は下がります。
歴史から見る金銀比価の推移
金銀比価は人類の歴史とともに大きく動いてきました。
時期 | おおよその金銀比価 | 備考 |
---|---|---|
古代エジプト | 2対1〜5対1 | |
古代ギリシャ・ローマ | 10対1〜12対1 | |
中世ヨーロッパ | 12対1〜15対1 | |
16〜18世紀(欧米) | 15対1〜16対1 | 銀の採掘増加で低下傾向 |
1792年 米貨幣法 | 15対1 | 米国政府の固定レート |
19世紀後半 | 30対1(日欧の制度改正で上昇) | 銀本位制度崩壊 |
1930年代 | 50対1 | 世界恐慌・通貨政策の影響 |
1970年代(金本位終了) | 30対1〜40対1 | ニクソンショック・変動相場制 |
1980年(ハント事件) | 16対1 | 市場操作による異常値 |
2000〜2010年代 | 60対1〜80対1 | 近年の平均値帯 |
2020年(コロナショック) | 123対1 | 金高騰・銀急落 |
2025年 現在 | 92対1 | 歴史的にも高い水準 |
このように、金銀比価は長期的には「約15対1〜80対1」を大きく行き来してきたことが分かります。
現在の金銀比価とその背景
2025年現在、金銀比価は90以上と、過去と比較してかなり高い水準に位置しています。
これは、近年の世界的な地政学リスクや経済不安(ウクライナ情勢、金融危機、インフレ懸念など)によって、金の「安全資産」としての需要が強まり、金価格が銀よりも大きく上昇したためです。
一方で、銀は産業用途が多く、経済成長やテクノロジー需要が高まる場面で強くなりますが、直近では金ほど急騰していません。
これが90超という高い比価につながっています。
今後の金銀比価の見通し
1. 世界情勢が不安定な場合
- 金への資金流入が続くため、金銀比価は高水準を維持または上昇する可能性が高いです。
2. 世界経済が安定・回復する場合
- 投資家のリスク選好性が高まり、銀の産業需要が強まれば、銀価格が上昇し金銀比価は縮小(低下)傾向になると考えられます。
- 過去50年平均の「50〜60対1」程度まで比価が戻ることもあり得ます。
3. 長期的視点でのバランス回帰
- 歴史的に見て現在は金が高く、銀が割安な水準です。
「均衡回帰(リバージョン)」という考え方が当てはまる場合、今後は銀価格に上昇余地があり、金銀比価が下がる方向に動く可能性があります。
4. 国際的な通貨・金融政策や経済展望
- 新たな金融危機や通貨不安が生じれば再び比価は拡大し、逆に産業革命や技術イノベーションによる銀の需要増大があれば縮小が加速します。
投資戦略のヒント
- 比価が高い時(例:90以上)→銀の価値が割安とされ、将来的な比価縮小(=銀高・金安)を見込んだ銀投資が注目される傾向があります。
- 比価が低い時(例:40以下)→金の価値が割安とされ、将来的な比価拡大(=金高・銀安)を見込んだ金投資が有利になります。
まとめ
- 金銀比価は金と銀の価値バランスを示す重要な経済指標であり、時代背景や国際情勢、金融政策によって大きく動きます。
- 現在は「歴史的にも高い水準」で推移しており、今後の世界情勢と金融市場の動向次第で大きな転換点を迎える可能性があります。
- 投資や資産防衛、マーケット分析の上でも金銀比価は重要な参考材料となるため、関連ニュースや経済動向と合わせて注視すると良いでしょう。
以上、参考になりましたら幸いです!
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