私の人生に多大な影響を与えた書籍の一つに、ロバート・キヨサキ氏の『金持ち父さん 貧乏父さん』があります。
『ラットレース』とはその著書の中に出てくる社会の一部の階層の人たちを表した言葉です。
平均的な教育を受け、真面目に働く人の一生を考えてみると一つの共通したパターンがあります。
子供が生まれ、その子供が学校に通い始め、中学生、高校生になったら受験に備え、家庭教師を雇ったり 塾にも通います。
そのかいもあって子供はそこそこの成績を取り、そこそこの大学に進むようになります。
その後、子供がさらに学業を続け、大学院に進むこともあるかもしれませんが、最終的には卒業し、安定した職業もしくは企業を探して仕事を始めます。
たとえば、医者や弁護士、一部上場の大手企業の勤め人、もしくは公務員などです。
仕事に就いてお金が入ってくるようになると、子供は自分と同じような若者が集まるところに出かけます。
友達と遊んだり、彼女が出来てデートしたりして、そのうち結婚します。人生バラ色ってやつです。
彼女=妻は、大学の同級生や会社の同僚だったりして、そこそこの仕事に就いています。
ダブルインカムは実に快適です。若い二人は人生の成功を手に入れたように感じるでしょう。
未来は明るい、イケイケです。
二人は家を買います。テレビを買い、白物家電を買い、家具を買います。
新車を買い、年末年始や夏季休暇にはちょっとリッチな海外旅行に出かけます。
それからしばらくして子供が生まれます。
子供の笑い声に満ちた幸せな生活が始まります。
生まれた子供のためにもお金がもっと必要になります。
二人は自分たちの仕事がこの生活を支えるのに必要不可欠であると再認識します。
昇進と昇給を目指してさらに頑張って働きます。
給料は徐々に上がり、次の子供が生まれます。
もっと大きな家が必要になります。
二人はますます一生懸命働き、会社に身も心も捧げる良き社員になります。
給与収入を増やすために、英語を勉強してTOEICの点数を上げたり、資格を取ったりします。
深夜までのサービス残業や突発の休日出勤、時には無茶な海外出張や単身赴任なども受け入れます。
一家の収入は上がりますが、累進課税のため税金も増え、社会保険料も増えます。
より大きな注文住宅を35年ローンで買ったため、ローンの返済や固定資産税も増えます。
二人は不思議に思います。
『一生懸命働いて 給料は増えているのに そのお金はどこにいってしまったんだろう?』
あまった僅かなお金で生命保険や子供の学資保険に入り、生活用品を楽天市場やアマゾンでクレジットカードを使って購入します。
生まれた子供たちはいつしか学齢期に達し、大学進学のお金を本格的に貯める必要があります。
それに併せて 自分たちの老後のお金も貯め始めなければなりません。
中年期に差し掛かった かつてイケイケだった幸せな二人は、いまや完全に『ラットレース』に巻き込まれ、退職の65歳まで がむしゃらに働き続けなければなりません。
二人は、会社の雇用主に利益をもたらすために働き
政府に税金を納めるために働き
銀行にローンを払うために働き
クレジットカードの買い物の支払いをするために働きます。
そして二人は生まれた子供たちに こう言い聞かせます。
『一生懸命勉強して、いい成績を取って、いい大学に行って、安定した職業に就きなさい』
こういう親たちはお金について一生何も学ばず、ただ真面目に、従順に、がむしゃらに働き続けるだけです。
彼らがお金について学ぶことと言えば、彼らの無知を利用してお金を吸い取ろうとする資本家側の言うことだけです。
そしてこのプロセスは次の世代でも繰り返されます。
これが『ラットレース』です。
以上、参考になりましたら幸いです。
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