PCGS(Professional Coin Grading Service)とNGC(Numismatic Guaranty Company)は共に世界的に権威のあるコイン鑑定会社であり、「PL(Prooflike)」の表記についても一定の基準を設けています。
ただし、その基準や考え方には若干の違いがあります。
PL(Prooflike)表記の基準
- PCGSとNGCの共通点
- 両社ともシェルドン・スケール(1~70)を採用し、未使用(Mint State, MS)やプルーフ(Proof, PR)コインのグレード評価を行っています。
- 「PL」は本来流通用に作られたコインのうち、鏡面状のフィールド(背景)を持つものに付与される特別な表記です。
通常の流通貨でも、表面が鏡のように光を反射する場合にこの designation が与えられます。 - PL表記に必要なグレード
- PCGSもNGCも、PL表記自体は特定のグレード(例:MS63以上など)に限定していません。
つまり、MS60台でもPLが付くことはあります。
ただし、PLの条件を満たすには「鏡面状のフィールド」が必要なので、摩耗や傷が多い低グレードでは事実上PLが付くことは稀です。 - NGCの公式基準では「フィールドが鏡面状であること」とされており、グレードの下限は明記されていません。
PCGSとNGCの考え方や運用の違い
項目 | PCGS | NGC |
---|---|---|
設立年 | 1985年(1986年業務開始) | 1987年 |
得意分野 | 米国コインの評価で高い信頼、プレミアムがつきやすい | 世界・古代コインにも強み、幅広い分野で評価 |
グレーディング | 厳格な基準と複数人による独立評価 | 一貫性と客観性を重視、チームで評価 |
PLの運用 | 鏡面状フィールドを重視、特に米国モルガンダラー等で有名 | 同様に鏡面状フィールドを重視、世界コインにも適用 |
- PLの付与に関する運用の違い
- PCGSは米国コイン、特にモルガンダラーなどでPL表記の運用がよく見られます。PLの判断は、特にフィールドの鏡面性に重点を置きます。
- NGCは世界各国のコインにも積極的にPL表記を用い、PL・DMPL(Deep Mirror Prooflike)などの designation も細かく使い分けています。
歴史と理念の違い
- PCGSは1985年創業、1986年業務開始。コイン鑑定の標準化と信頼性向上を目的に設立され、特に米国市場での信頼性が高いです。
- NGCは1987年創業。設立当初から一貫して「正確・一貫・公正」な鑑定を理念とし、世界最大級の第三者鑑定機関に成長しました。
まとめ
- PL表記自体にグレードの下限は明記されていませんが、実際には鏡面性を維持できる高グレード(MS63以上など)で多く見られます。
- PCGSは米国コイン重視、NGCは世界コインにも強いという傾向があり、PLの運用にも若干の文化的違いがあります。
- 両社ともシェルドン・スケールを採用し、客観性と一貫性を重視していますが、ラベルやサービス面で個性があります。
「PLをつけるためのグレード基準」については、明確なグレード下限はなく、鏡面性の有無が最大の判断基準です。
両社の歴史や理念の違いが、運用や評価の細かなニュアンスに影響しています。
以上、参考になりましたら幸いです!
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