脳には主に2つの重要なネットワークがあり、それが「デフォルトモードネットワーク(DMN)」と「タスクポジティブネットワーク(TPN)」です。
これらは私たちの意識の状態や活動に応じて交互に働き、効率的な脳の機能を支えています。
デフォルトモードネットワーク(DMN)
DMNは脳が課題や外部の刺激から解放され、休んでいるように見えるときに活発になるネットワークです。
主な脳領域は内側前頭前皮質や後帯状皮質、楔前部、側頭頭頂皮質などで、自分の感情や過去の記憶、未来の予測、社会的な相互作用の理解を担います。
たとえば、ぼーっとしている時や内省している時、心の中で自己や他者について考えている時に活発化します。
このネットワークは休息時の「アイドリング状態」に相当し、自己認識や感情の整理、意味づけなどを行います。
ただし過剰に活動すると、過去の後悔や未来の不安にとらわれる反すう思考につながることもあります。
反すう思考は否定的な感情や考えが繰り返し頭の中をめぐる状態で、精神的な健康に悪影響を及ぼすことがあるため、適切な対処が重要です。
タスクポジティブネットワーク(TPN)
一方TPNは集中して課題や目標に取り組むときに活性化します。
背外側前頭前皮質や前帯状皮質、側頭頭頂皮質といった領域が関与しており、注意を集中させ、行動を計画・制御し、問題解決や意思決定を支えます。
TPNはエネルギー効率が高く、一つの対象に意識を絞り無駄な情報を排除して作業を効率化します。
また、自分の状態を客観的に把握する「メタ認知」の働きもTPNが支えています。

DMNとTPNの切り替え
この2つのネットワークはシーソーのように交互にスイッチされます。
DMNが強まるとTPNは抑えられ、TPNが活性化するとDMNは休止します。
例えば、仕事や勉強など集中するときはTPNが働き、「ぼーっとして何もしていない」ときや感情や思考に浸っているときはDMNが活発になります。
この切り替えのバランスが脳の効率的な働きに不可欠で、創造的な思考や精神の健康にも関わります。
日常生活での具体的切り替え方法
- DMNを活性化するには、瞑想(特に観察瞑想)、単純でリズムのある作業(掃除や散歩など)、軽い運動、短い昼寝が効果的です。これにより、脳がリラックスし自己内省が深まります。
- TPNを活性化するには、目標を明確にしてタスクへ集中する、集中瞑想を行う、難しい問題に取り組むなど、意識的な集中が必要な活動が有効です。
- 切り替えがうまくいかない場合は、マインドフルネス瞑想などで内省(DMN)と行動(TPN)のバランスを整えることが大切です。

まとめ
DMNは「自分と向き合う内向きの思考」、TPNは「外の世界に集中する外向きの思考」を司り、それぞれ内省や感情の整理、目標達成や行動制御に重要な役割を持ちます。
これらが適切に切り替わることで、私たちは効率的に働き、創造力を発揮し、心のバランスも保てます。
日常生活での意識的な行動や瞑想が、この切り替えを助け、精神的な健康やパフォーマンス向上に役立つのです。
以上、参考になりましたら幸いです!
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