金や銀の価格は長期的に上昇基調にありますが、決して一本調子ではありません。日々、荒波のように激しく揺れ動き、安定とはほど遠い状況が続いています。
このような不安定な相場では、多くの投資家が迷い、判断を誤ります。しかし、今のうちに「暴落」という最悪のシナリオに対する心構えを持っておくことで、どんな嵐が来ても揺るがない軸を作ることができます。
今回は、投資のバイブル「敗者のゲーム」の著者チャールズ・エリスの知恵を借り、不安定な今だからこそ確認しておきたい資産防衛の真髄をお話しします。
1. 投資の本質は「ミスをしないこと」にある
チャールズ・エリスは、投資をアマチュアのテニスに例えました。
プロの試合は鋭いショットで得点を取りに行く世界ですが、アマチュアの試合は、ネットやアウトといった自らのミスによって勝敗が決まります。
これを貴金属投資に置き換えると、最大のミスとは、価格の乱高下に惑わされて大切に守ってきた現物を安値で投げ出してしまうことです。
相場が荒れている時、無理に立ち回って短期的な利益を追い求める必要はありません。ただ市場というコートから逃げ出さず、現物を手放さないこと。それだけで、あなたは投資というゲームの勝者になれるのです。
2. コインコレクターが持つ最強の盾
相場が不安定になると、数字上の投資家はパニックに陥ります。画面に映る、目まぐるしく変わる数字しか見ていないからです。
しかし、現物コインを愛する皆さんは違います。皆さんの手元にあるのは、単なるデータではなく、数千年の歴史と芸術が凝縮された物理的な実体です。
市場価格が上下しても、コインの歴史的価値や彫刻の美しさが損なわれることはありません。金や銀の原子そのものが変質することもありません。
不安定な相場は、目先の数字しか見ていない投資家を振り落とすためのふるいです。現物の価値を信じるコレクターとしての愛着こそが、激しい値動きの中であなたを守る最強の武器になります。
3. 稲妻が輝く瞬間に立ち会うために
エリスは、過去の膨大なデータから一つの真理を導き出しました。それは、市場の大きなリターンは、一年のうちのほんの数日間に集中しているということです。
重要なのは、その稲妻(急騰)がいつ光るかは誰にも予測できないということ。そして、その稲妻は往々にして、誰もが不安に苛まれ、投げ売りを考えるような局面の直後に突然走るのです。
もし価格の不安定さに耐えかねて手放してしまったら、その瞬間に立ち会う権利を失います。不安定な相場に耐える時間は、次に来る爆発的な上昇を確実に捕まえるための必要な入場料なのです。
4. 紙の通貨 vs 物理的な資産
価格が揺れ動いて不安になったら、原点に立ち返りましょう。
法定通貨は、中央銀行の発行量によって価値が変動し続け、長期的にはインフレによって目減りしていく宿命にあります。対して金や銀は、地球が生み出した有限の資源であり、誰のサインも約束も必要としない価値そのものです。
特に銀はハイテク産業に不可欠な資源として、日々消費され続けています。供給が限られ、需要が増え続けるという物理法則がある限り、目先の乱高下は市場のノイズに過ぎません。
5. 乱高下のさなかの具体的アクション
相場が安定せず、心が揺れ動く時は、以下のことを思い出してください。
・画面を見る回数を減らす:頻繁に価格をチェックしても不安が増すだけで、正しい判断はできません。
・初心を思い出す:なぜ現物を持とうと決めたのか?「紙のお金だけでは危ない」と判断した自分を信じてください。
・じっとしている:何もしないこと。それ自体が、投資における最も高度で難しい技術です。
結び:あなたは歴史の守護者である
不安定な相場は、あなたの握力を試すためにあります。その握力とは、単なる力ではなく、自分の判断に対する誇りであり、未来への信頼そのものです。
数年後、あるいは数十年後。この揺れ動く局面を乗り越えた時、あなたの手元のコインは今よりも遥かに眩しく輝いているはずです。
無理に勝とうとしなくていい。ただ、自滅しないこと。
このエリスの教えを胸に、激動の時代を歩んでいきましょう。本物の価値を握りしめているのは、あなたなのですから。
この記事が、不安定な相場に立ち向かう皆さんの心の錨(いかり)となれば幸いです。


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