本日こんなものが届きました。

みんな大好き ゆうパケットポストミニです。
早速 開封してみましょう!

プチプチに包まれています。


中身は 1931年オランダ 2.5ギルダー銀貨です。
先日、高校生の出品者から、夏祭りのための小遣い稼ぎに偽物が送られてきたというトラウマ級の銀貨でもあります。

側面は大丈夫そうです、ギザではありません。

重量も適正です。
どうやら本物で大丈夫そうです。
連続で偽物を掴まなくてよかったです、掴んだらネタにできたのかもしれませんが😅
◆ コインの詳細スペック
- 国名:オランダ(Kingdom of the Netherlands)
- 額面:2½ ギルダー(gulden)
- 発行年:1931年
- 肖像:ウィルヘルミナ女王(Wilhelmina, 在位 1890年―1948年)
- 表面デザイン(オモテ)
- 左向きのウィルヘルミナ女王の肖像
- 周囲に「WILHELMINA KONINGIN DER NEDERLANDEN」(オランダ女王ウィルヘルミナ)の銘文
- 裏面デザイン(ウラ)
- 王冠をいただくオランダの国章(ライオンと剣・矢束の紋章)
- 額面「2½ G」(GはGuldenの略)
- 周囲に「MUNT VAN HET KONINGRIJK DER NEDERLANDEN」(オランダ王国の貨幣)
- 下部に年号「1931」
- 素材:銀 0.720(銀72%、残り銅など)
- 重量:25.0 g
- 直径:38 mm
- 厚さ:約2.8 mm(タイプによる)
- 銀純分量(含有銀量):25.0 g × 0.720 = 約18.0 g 純銀
- 発行枚数(1931年):およそ3,200,000枚前後といわれています
◆ 歴史的・国際的背景(1931年のオランダと世界)
1. オランダ国内の状況
- ウィルヘルミナ女王の時代
1931年当時、ウィルヘルミナ女王はすでに在位40年以上となる長期君主で、オランダ国民から広く尊敬されていました。彼女は第一次世界大戦期にも中立を守り抜き、王室の権威を高めた人物です。 - 経済の不安定化
1929年の世界恐慌の余波がオランダにも深刻に及び、1930年代初頭は失業率が急増し、社会不安が広がっていました。とくに貿易に依存していたオランダ経済は、世界的な需要縮小に直撃されました。
2. 国際情勢
- 世界恐慌の拡大期
1931年といえば、かなり深刻化した世界恐慌の時期で、各国は金本位制を維持するか否かで揺れていました。オランダは長く金本位制に留まりましたが、その緊縮的な金融政策は経済不況の長期化を招いたとも指摘されます。 - ヨーロッパの不安定化
1931年、隣国ドイツでは失業者が数百万人規模に達し、結果的にナチ党の台頭を加速させる土壌が生まれます。この動きはオランダにも強い警戒感をもたらしました。 - 植民地支配とオランダ
当時オランダはインドネシア(オランダ領東インド)をはじめとした豊富な植民地を保持しており、これらからの資源と貿易収入が本国を支えていました。しかし世界的デフレにより、植民地経済も打撃を受け始めました。
3. 貨幣制度と銀貨の意味
- 1931年の2½ギルダー銀貨は、依然として銀を含有する本位貨幣であり、対外的な信用と国内での安定的な価値保有手段を象徴していました。
- しかし、銀貨は発行コストや金本位制維持との両立に負担が大きく、やがて戦後には徐々に姿を消していきます。つまり、この時期の銀貨は「伝統的な硬貨と近代経済のせめぎ合い」を体現しているともいえます。
◆ まとめ
1931年のオランダ2½ギルダー銀貨は、ウィルヘルミナ女王を象徴する大形銀貨であり、1930年代のオランダが経験した「世界恐慌・金本位制の堅持・不安定化するヨーロッパ情勢」といった時代背景の中で発行されました。
約18gの純銀を含むこのコインは、単なる流通貨幣であると同時に、当時のオランダ経済の強さと硬直さを物語る歴史的証人ともいえる存在です。
◆ 発行後の経緯と貨幣史の中での位置づけ
- 2½ギルダー銀貨の継続発行
- この「2½ギルダー」額面は、オランダで19世紀半ば以降に伝統的に発行され続けた大型銀貨(Rijksdaalder)です。
- 1931年発行のものはデザイン的には1929年から続く「ウィルヘルミナ女王の中年期肖像型」にあたります。
- 金本位制の終焉と銀貨の役割低下
- オランダは比較的長く金本位制に留まりましたが、1936年に金本位制を放棄。
- 世界恐慌とデフレの影響から、銀貨を本格的に流通用として鋳造する合理性は次第に失われていきました。
- もっとも、2½ギルダー銀貨は戦後もしばらく発行され(女王の代替わり後も存続)、国民に「伝統的な重みのある高額硬貨」として親しまれました。
- 戦時中の事情
- 第二次世界大戦でオランダは1940年にナチス・ドイツに占領されます。
- 多くの銀貨は金属供出や国外逃避といった混乱に巻き込まれ、現存数にも影響しました。
◆ コレクション・現在の価値
- 銀としての価値
この貨幣は約18gの純銀を含みます。したがって最低でも「地金価値(銀価格×18g程度)」を持ちます。 - 収集価値(2020年代の市場例)
- 並品(擦り傷や摩耗多め):2,500〜4,000円程度
- 美品〜極美品(細部がしっかり残るもの):5,000〜1万円程度
- 未使用クラス(未流通や保存状態が非常に良いもの):2万〜3万円以上で取引されることもあり
1931年はそこまで少数発行ではなかったため、「希少年号」とまではいきませんが、状態が良いとコレクター市場で人気があります。 - 歴史的魅力
コイン収集家の間では、「ヨーロッパの大恐慌期に出た最後期の重厚な大型銀貨のひとつ」として評価されます。
また、ウィルヘルミナ女王が長期にわたって国を率いた象徴的存在であるため、歴史性も非常に強いアイテムです。
◆ 歴史的意味合い
- 象徴性
このコインの中央に刻まれたオランダの国章(ライオンが剣と矢束を持つデザイン)は、「小国ながら独立を守り抜き、交易で繁栄するオランダ」の国是を示しています。
世界恐慌と近づく戦火の中、銀貨としての重量感と美しい肖像は、国民に国家の安定や信用を象徴するものだったといえます。 - 国際的つながり
当時のオランダはヨーロッパの経済危機に直面しつつも、金本位制・強い通貨政策・植民地収入などに依存して「安定性」を守ろうとしていました。
この銀貨は、その「伝統・安定の象徴」として流通していたものです。
◆ まとめ
- 1931年のオランダ2½ギルダー銀貨は、
- 重量25g、直径38mmの堂々たる大型銀貨
- 約18gの純銀を含む価値のある実用硬貨
- 世界恐慌と金本位制崩壊期に発行された「経済的に転換点の時代の証」
- 今日では収集家にとって歴史と存在感を兼ね備えた人気コイン
このように、単なる金属貨幣ではなく、1930年代世界経済の危機やオランダ近代史を語る歴史的遺物ともいえる存在です。
◆ 1931年銀貨から戦後・ユーロ導入までの流れ
1. 1930年代~戦時期
- 1930年代の通貨政策
1931年当時、オランダは依然として「金本位制」に留まっていました。他国(たとえばイギリス)は早くに金本位制を放棄しましたが、オランダは1936年まで金への兌換を維持し続けます。これは「堅実な国」というイメージを重視したためですが、実際には不況からの回復が遅れる原因にもなりました。 - 第二次世界大戦中(1940–45年)
ナチス・ドイツに占領されたオランダでは、銀貨・金貨の多くが流通から回収され、戦費にあてるために溶かされたか国外に流出しました。そのため現存するコインは、歴史的事件を生き延びた物証として価値を持ちます。
2. 戦後~1950年代
- 戦後の通貨安定化
戦後すぐの1945年〜46年にかけて、オランダでは通貨改革(いわゆる「ティーン・ギルダー紙幣による資産洗浄」)が行われました。ただし2½ギルダー銀貨は依然として高額貨幣として通用しており、戦前発行のものも継続使用されました。 - デザイン・肖像の更新
1948年にウィルヘルミナが退位し、娘のユリアナが即位すると、2½ギルダーもコインデザインが交代します。ここで1931年銀貨は「女王ウィルヘルミナ時代最後期を象徴する大型銀貨」と位置付けられることになります。
3. 1960年代~ギルダー貨の近代化
- 銀貨の終焉
世界的な銀価格の高騰もあり、1960年代以降、銀貨はコスト高で維持困難になります。オランダでも2½ギルダー銀貨は1970年代にかけて段階的に姿を消していき、代わりに「白銅貨」が導入されます。 - 伝統から近代へ
1931年の銀貨のような“重く大きな貨幣”は、「通貨は貴金属で価値を保証するもの」という時代の伝統的な象徴でした。しかし戦後ヨーロッパでは通貨の役割は「信用と管理通貨」へ移り変わります。この銀貨は、その過渡期の最盛期を代表する硬貨といえます。
4. 2002年 ユーロ導入へ
- ギルダーの最期
オランダ・ギルダーは2002年に廃止され、ユーロに完全移行します。
このとき2½ギルダーという額面も正式に姿を消しました。つまり、2½ギルダー銀貨=「19世紀から続いたオランダ独自の貨幣単位」の象徴だったのです。 - 文化的な位置付け
ユーロへの移行により、オランダ人が実際に日常で使う“ギルダー銀貨”は完全に過去のものとなりました。しかしコレクターの間では「ユーロ以前のオランダの誇り」として今なお大切に扱われています。
◆ 歴史的な全体像での価値
- 1931年の2½ギルダー銀貨は、
- 大恐慌時代における「信用の象徴」
- ウィルヘルミナ女王治世下(長期即位 1890–1948)の代表的銀貨
- 第二次世界大戦を経てなお現存する“時代の証言者”
- ユーロ導入以前の「金属として価値を持つ伝統的貨幣」の終盤を飾る存在
まさに、近代オランダと欧州全体の通貨システムの移り変わりを一枚に凝縮したようなコインです。
以上、参考になりましたら幸いです!
コメント